脆く、儚い。
それを、俺は
壊した。
夕暮れに染まったキミの横顔が、とても好きだった。
愁いを帯びたキミの瞳が、赤く染まった空を飲み込む。
その姿が、儚く、美しかった。
しばらくして、
キミは空を見上げる事はなくなった。
憂鬱にも雨が続いていたからだ。
キミの部屋にはカーテンが掛けられ、光を取らなくなった。
しばらく見ていない、君の瞳は、今、どんな色をしているの?
次の日も、次の日も、
俺は雨にうたれながら、キミを想っている。
光が差さないこの世界で、水分を取りすぎた花は俯いて、悲しく雨にうたれていた。
そして、晴れた日に、
キミに会いにきた。
とても静かな日。
空には雲ひとつなく、青い絵の具で描いたような、綺麗な空。
そして、キミは
壊れた。
キミが、病にかかっているなんて、これっぽっちも思っていなかった。
夕焼けがスキだったキミ。
それを眺めるのが好きだった俺。
これは、嘘なんかじゃない。本当に、好きだった。
キミの瞳が、キミの眼差しが、
キミの … … 優しい笑顔が …
夕焼けを見なくなって、どれくらい経っただろう。
俺の記憶から、キミはまだ消えてくれない。
思い出すほどに、胸が苦しく、暖かくなる。
拭いきれない涙が、胸に滲みて痛みを与える。
それさえも、今は嬉しいと想うんだ。
キミを想って泣ける事が、幸せだから。
… しばらくして、俺は命を絶った。
事故だった。何も判らないまま、鼓動は途絶え
キミへの想いが息絶えた。
俺は …
キミを
壊してしまった …
もう泣けない。もう思い返せない。痛みも無い。苦しくも無い。
この世界で、俺は誰よりも、キミを想えただろうか …
また、キミに逢えるだろうか …
もし、逢えるなら、また夕焼けを見よう。
キミが好きだった、あの公園で、あの景色で、
もう、壊れないように。
… ずっと、この腕で抱きしめてあげるから …。